Blues Mobile Project FILE#160_マスター交換

やっぱりマスターシリンダーを交換しようと思ってRockAutoで急遽購入してしまった。


新品のマスターシリンダー。前輪ディスク/後輪ドラムの車両用。

チェックしてみたが、ピストンの動きはスムースで問題なさそう。

この年代のクライスラーのマスターシリンダーの圧送口はブースター側がフロントブレーキ、前側がリヤブレーキにつながる。


さて、新品のマスターシリンダーは車両に取付ける前にする事がある。

それは・・・マスターシリンダーのエア抜き。

エア抜きしないままマスターシリンダーを取付けるとマスターシリンダー内の大量のエアがブレーキラインに混入してしまうので事前のエア抜きは必須だ。


エア抜きの方法はリザーブタンクにブレーキオイルを入れた状態でマスターシリンダーのピストンをポンピングして圧送口からエアを追い出すのだが、圧送口を開けっ放しだとピストンが戻るときにエアを逆に吸い込んでしまうので、エアでなくリザーブタンク内のブレーキオイルを吸うように圧送口に「戻しチューブ」を取り付ける。

圧送口から出たブレーキオイルが循環する事にもなるので新油の無駄使いも防げる賢い方法だ。

だけど問題は、オイラには「戻しチューブ」が無い・・・。


無い物は作る。それが旧車乗りの心意気としたもんだ。

「戻しチューブ」が無いなら作ればいいじゃん。用意する物は1/4インチのスチールパイプ、パイプベンダー、フィッティングなど、どこにでもあるもの。


スチールパイプをクィッと曲げて、フィッティングを通してパイプ端をダブルフレアにすれば「戻しチューブ」の出来上がり。

フィッティングはフロントブレーキ圧送口が1/2インチ、リヤブレーキ圧送口は9/16インチと微妙に径が違う。9/16インチのフレアナットが無かったので9/16⇔1/2インチ変換ユニオンを使った。


「戻しチューブ」はこんな感じでマスターシリンダーに取付ける。

しかし、「戻しチューブ」を作ってみたものの、コレって他に使い道が無いんだよね。

せっかく作ったので捨てはしないが、マスターシリンダーなんて普通に10年以上は使えるから、この先出番は無いな、きっと。


それじゃあ、一発屋の「戻しチューブ」を使った新品マスターシリンダーのエア抜き行ってみよう。

リザーブタンクにブレーキオイルを入れたらシリンダーをポンピング。

最初は「戻しチューブ」からエアがポコポコと出るが、ポンピングを繰り返すうちにエアが出なくなる。

これで新品マスターシリンダーのエア抜は完了。

車体に取り付けるまで新品マスターシリンダーはこの状態のまま放置。


次はいよいよ車体側の作業。今のマスターシリンダーを取り外すのだが、FILE#158 腐ってもブレーキ 後編でサビで固着したブレーキパイプを捩じ切ってしまった事もあり、緩めるネジにラスぺネをタップリ吹いて、しばらく放置。

頃合いを見計らってブレーキパイプのフィッティングから行こうか。

ここはスパナやモンキーでなく、しっかりフレアナットレンチを使って・・・緩んだ。



続いてマスターシリンダーのフランジを留めているナット4個を外す。

このナットかなりきつく締まっている。メガネレンチを掛けたら「ボルトよ折れるな」と念じながらレンチの端を手の平で叩いて衝撃で緩める・・・緩んだ。

このナット、緩み止めナットなので緩んだとしてもその後も素手では回らないので板ラチェを使った。


マスターシリンダーのフランジのナットが外れたら、マスターシリンダーを引っ張ってブースターから抜く。

毎度の事だがブースターもサビサビだね~。


 

新品マスターシリンダーを取り付ける前にワイヤーブラシでブースターのサビをこすったが、40年物の頑固なサビは落としきれず。

それにしてもデカいブースターだこと。


新品のマスターシリンダーをブースターのボルトに仮留めしたら、「戻しチューブ」を車体のブレーキラインにつなぎ直す。当然「戻しチューブ」を外した瞬間にブレーキオイルがダラダと漏れだすので、作業は迅速に。写真を撮っている余裕が全く無かったが、新品のマスターシリンダーの取付け完了。

面倒だけど念のため全輪もう一度エア抜きだ。


面倒だけど念のため全輪もう一度エア抜きだ。


エア抜きが終わったので、最終的な油面レベルの調整。

困った事にこの時代のリザーブタンクには「Min - Max」みたいな適正油面の表示が無いので油面レベルは適当に。


キャップを付けたらマスターシリンダーの交換完了。

さて、新品のマスターシリンダーでブレーキペダルの当たりは変っただろうか・・・?

あら、あんまり変わらないぞ。

エンジンOFFだとガッツリ当たりが出ていて、いくら強くペダルを踏んでもフロアからかなり離れた位置でペダルが止まるが、そこからエンジンを掛けるとブースターが効いてスーっとペダルが吸い込まれ、ペダルがフロアに着く直前まで行く。

なんだ、これで正常だったんだ。


交換の効果は無かったが「40年前のマスターシリンダー」と言う不安要素が消えたから、これで良しとするか。


作業時間は「戻しチューブ」の作成も含めて4時間。


本日の獲物は40年物のマスターシリンダー。

前側が丸く、ブースター側が四角い形状はオリジナルパーツって事を物語ってる。

外側はサビているが、内部は割とキレイなのでピストンのオーバーホールキットを使えば再生できそうな感じだ。

とりあえず捨てずにとっておこう。


2015.11.21



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