Blues Mobile Project FILE#029 関節に気をつけろ

今回はステアリング・リンケージの中のタイロット部分の交換。

タイロットを交換する事の意味は、タイロットの両端についているボールジョイントを新しくするって事。タイロッドのボールジョイントは普通に乗っていてもハンドルを切ったり、サスペンションの上下よって常に動いている部分なので、徐々に磨耗する。つまり消耗品。

ステアリングリンケージを人間の腕とするなら、肘と手首の関節を新しくするってとこかな。


でもって、これが現物。


ボールジョイントには磨耗を防ぐためにグリスが封入されているのだが、オイラのMONACOはボールジョイントのブーツが裂けていてグリスがハミ出しまくってる。それにタイロッドを手で掴んで捻ると簡単にボールジョイントが首を振る。磨耗が進んでいる証拠。このまま放っておくとボールジョイントが「脱臼」する恐れあり。


それでは交換とまいりましょう。

まずは、ボールジョイントをナックルに固定しているナットの割りピンを外して、ナットを回すが・・・固い。

とりあえずラスペネ吹いたが、浸透するのを待つのもじれったいので、長尺のスピンナーハンドルを使い、力ずくで緩めた。

しかーし、ボールジョイントとナックルはテーパー嵌合なので、ネジを緩めただけでは外れないのである。 


ここで「ボールジョイント・セパレーター様」に登場願った。

こいつはナックルにハマっているボールジョイントのボルトの頭を挟み撃ちにしてテーパー嵌合を押し出す専用工具。プロはダブル・ハンマーだけで外すらしいのだが、素人のオイラは安易に工具にお世話になってしまおう。

セパレーターを装着してボルトを徐々に締め上げて行くが、なかなか嵌合が外れない。固着しているみたいだ。

意地になってセパレーターの方が先に折れるんじゃないかってぐらい締め上げてやっと「バキン」と大きな音と共にボールジョイントがナックルから外れた。不意に大きな音がするので心臓に悪いゎ。  


アウターのボールジョイントに続いてインナーのボールジョイントも外すと、タイロッド全体が車体から外れる。


外したタイロッドと交換用に用意したMOOGの新品。左がインナー、右がアウター、中央はインナーとアウターを連結するためのパイプ。

アウターは逆ネジになっていて、パイプを回す事によってタイロッド全体の長さが伸び縮みする仕組み。トー調整はこのパイプを回すのでアジャスト・スリーブと呼ばれる。


アライメントをできるだけ狂わせないために、外したタイロッドと同じ長さになる様に新品を組む。グリスニップルの位置をボールジョイントのセンターと信じて?調節。

最終的にはアライメント・テスターに掛けて調整するのがベストなのだが・・・そのうちね。 


ナックルとセンターリンクの取り付け穴周辺を掃除したら部品取り付け。

グリスガンでグリスを充填し、最後にボルトに割りピンを入れて作業完了。

ちなみにグリスの充填は3年毎がサービスマニュアルの標準指定。


反対側のタイロッドも同様に交換。


外したタイロッドのボールジョイント。汚い&ボロボロ。たぶん新車時から1回も交換されていない。 


今回の使用工具たち。おっと、グリスガンが写っていないなぁ。

ネジサイズは、ボールジョイント3/4インチ、アジャストスリーブ1/2インチ。

作業時間は3時間。(写真無しなら2時間かなぁ。) 


交換後の効果は?

・直進付近のステアリングのフラつきが減った。

・精神的安心度アップ。 



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