Cadillac Maintenance FILE# 18 リア・ショック交換

ブロアムのリアサスにはオートレベラーザー(Erectronic Level Control) 機能がついていて、リアの車高を常に一定に保っている。後部座席の乗車などでリアサスが沈み込んで車高が下がると、車載のエアーコンプレッサーからリアショックのエアバッグ(衝突で開くのとは違うよ!)に自動的に空気が充填されて、車高が元に戻る仕組み。

インパネの「LEVEL RIDE」のインジケーターは、このエアーコンプレッサーが回って空気を入れている時に点灯する。 


普通ならエンジン始動時にしばらくエアーコンプレッサーが回って車高が戻ると、その後はたまにしかエアーコンプレッサーは回らないのだが、最近、走行中にエアーコンプレッサーが5分以上回りっぱなしの症状が出てきた。エアーコンプレッサーを長時間回しっぱなしにすると熱を持ってしまいエアーコンプレッサー本体が壊れる可能性があるので、とりあえずエアーコンプレッサーのヒューズを抜いて対処。なので「ケツ下がり」状態。


考えられる原因は、

・ショックのエアバッグからのエア漏れ。

・エアーコンプレッサーの出力不足。

・エアーチューブ/フィッティングからのエア漏れ

・車高センサの異常。


「ショックのエアバッグからのエア漏れ」

一番可能性が高いのがこれ。今装着しているモンローのショックは使い始めて5年。

たとえエアもれの原因でないにしても、ショックは所詮消耗品なので交換に決定。

しかし、エアバッグ付きのリアショックは特殊なので、部品の選択肢が無い!

GM純正か再びモンローにするか迷ったが、AC-Delcoからも相当品が出ている事を発見し、今回はAC-Delcoに決定。値段もモンローよりも安い。


「エアーコンプレッサーの出力不足」

これは程度のよさそうな中古をオークションでGet。(同じ年式のクルマでもハイドロ車やエアライド車は、このコンプレーッサーをわざと殺してあって使っていないので、意外と程度が良かったりするんだな~。)


「エアーチューブ/フィッティングからのエア漏れ」

エアチューブはゴムではなく、硬質プラスチックのような素材なので、折れていなければ途中でエア漏れする事は無い。

フィッティングについてはゴム製のOリングが使われているので、経年劣化(硬化)すると思われる。ショックとのフィッティング部は、たぶんショックに新品のOリング添付されてくるので、ショック交換で新品になる。

コンプレッサとのフィッティングはOリング単体の部品供給は無く、しかもエアーチューブを切断しないとOリングが抜けない構造なので、エアチューブのアッセン交換となる。なのでエアチューブも交換決定。


「車高センサの異常」

車高センサはボディとリアのアッパーアーム(助手席側)との間隔を測っていて、サスの動きに連動して常に上下に動いている部品なので、これも交換しようと思ったが、新品の価格を見てビックリ。高~い。なのでこいつはパス。


作業時間は6時間。

ショックのアッパー側の取り外し/取り付けにてこずった。それにクルマの下に潜りっぱなし+力作業の連続でヘトヘト。写真もろくに撮れず。


エアーコンプレッサーの回りっぱなしの問題は無事解決。

AC-Delcoのショックはダンピングは固め。80Km/hぐらいで走っているときがちょうど良い感じ。


先ずはリア・ショック。


上が今まで装着していたモンロー。

真ん中の黒い部分がエアバッグ。ゴム製でショックの動き応じて常に伸縮している。エアーが入るとニョキニョキと伸びてくる。 


下が今回装着するAC-Delco。エアバッグはあるのだが、左側の太い部分の中にスッポリ納まっていて、ゴムの部分は表に出てこない。飛び石などからの保護とエアが入ったときにゴムが横に膨らまないので、こっちの方が機能的にも良さそうに思える。


AC Delco#504-511(2本セット)

MONROE#MA819(2本セット)


モンロー(白い方)の真ん中のヘソみたいなのがエアーの注入口。AC-Delcoも同じ形。

 

モンローのアッパーブラケットのボルト穴は2個とも円型。


AC-Delcoのアッパーブラケットのボルト穴は片方がU字。


モンローは取り付けボルトを完全に外さないと、ショックの取り外しができないが、AC-Delcoは片方のボルトは緩めるだけで済む。大した差ではでは無いように見えるが、ショックのアッパー側は貫通ボルト+ナットでフレームに共締めされており、ナットはフレームとボディとの僅かな隙間からアクセスするしかないので、作業性が悪く、一旦ボルトを抜いてしまうと再度ネジ締めしようとする時にナットの位置決めがえらく面倒。

なので実際に作業をするうえで、ボルトを完全に抜か抜かないかの差はデカイ。


AC-Delcoが◎。


今回取り付けたエアーコンプレッサー ASSY。

中古パーツだがエアフィルターと、そこからコンプレッサー本体につながるエアホースだけは新品に交換。


エアフィルターにはゴミよけのためにスポンジが入っているが、10年も経ったスポンジは非常にもろくなっており、指でさわるとクズグズに崩れてしまう。

何かの用でエアーコンプレッサーを外したときは交換推奨。


このエアーコンプレッサー、93の場合はボディーの裏側(ちょうど助手席側後部座席の下ぐらい)にぶら下るように付いており、しかもそれなりに重いので取り付け/取り外しが大変。


エアチューブ。 GM#22099149


左上の黒いコネクタがエアーコンプレッサーのフィッティング。

中央下の黒いコネクタと右上の白っぽいコネクタがショックとのフィッティング。

ショックとのフィッティングは純正ショック用のものなので、モンローやAC-Delcoの場合は切り落とす。


純正ショック用フィッティング。


チューブ先端が傘状につぶしてあるので、そのままではOリングとコネクタ(白いやつ)がチューブから抜けない。


チューブ先端の傘状につぶしてある部分をカッターで切り落とし、Oリング2個とコネクタを抜く。


GM純正のフィッティングを外したらAC-Delco用のフィッティングを取り付ける。

白っぽいのはシリコングリス。


これが交換を諦めた車高センサ。

リアサスのアッパーアームの上下動に連動して車高センサのアームが円運動する。 


どうせセンサーの内部はメカニカルな電気接点があるだけだろう思ってセンサーをバラしてみたら、さにあらん。内部は電子部品の載った回路になっており、防水のためかケース内部に透明の樹脂が充填されていた。

アームの位置の読み取り部も非接触のセンサーになっていて、常に動いていてもスリ減る部分が無い!この造りでは値段が高いのも納得だが、もっと簡単なものにならんのかな~。


取り外したエアーコンプレッサー。

汚い!

まー13年間も床下で働き詰めだったので、仕方ないか。


2006.10.09


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